庭で薬剤散布を終えて道具類を片付けていると・・請求書をお願いしまあす・・。という声がするので、車に入って急いで請求書を仕上げて車から降りると、屋敷の奥さんと娘さんが玄関前をシュロボウキで黙って掃除してくれている。
「○○さん(私のこと)のお弟子さんみたいよね・・あたしたち・・。」
そういって笑っている。
手入れのために庭に入ると、お施主が日よけの服装をして出てきて鉢植えの土替えやら花壇の草ヒキやらを始める家がよくある。
それでも彼らは決して私たちの仕事の領域には入ってこない。
私たちが刈ったサツキの玉物を娘さんがじっと見ているのを樹の上で鋏の音をさせながら見下ろす。
3時のお茶の時間ずっとそばにいて同じ庭の時間を過ごす。
どんよりした空の下、揺れる桜の枝葉のゆれるのを見ている。
風なんか吹いていないのに・・。
この家の娘さんはミカンとザクロ、小さなサツキ玉を自分で管理していて、私たちは手をつけない。
彼女のサツキはいつも同じように刈り込まれていつも同じかたちだ。
刈る時期を間違わないので花は毎年咲く。
好きでやっているのだからそれもいい。
でもそれ以上は豊かにならない。
それでも彼女のサツキはほとんどの植木屋さんにしろ自称庭師さまたちと同じレベルなのだから、立派なものだ・・ともいえる。
支払いをしていただいて、今夜食べてください、と手作りの料理を手渡してもらった時に、○○さんが来ると庭に出るのが楽しいの・・・お弟子さんになったようでうれしいわ・・と奥さん。
自らを師だとか親だとか云うほどのバカでもないし、人を弟子だとかいうほどの高慢でもないが、預かっている庭の木々や竹垣などには特別な想いが年々増してくる。
壁際に随分前に植えた木々がタフな環境の中でやっと雑木らしい姿になってきた。
高さ5mを超えた。これからが楽しみだ。


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