
今朝寺に滑り込むと昨日の風に吹かれて落ちた葉が駐車場や境内一面を覆っていた。
お寺の若奥さんは腰に手を当て空を見上げた後に車から降りた私のほうを見て「綺麗なものなんだけど、この山の木の葉を全部掃除するのかと思うと・・。一気に綺麗さっぱり降ってくれないものかしらねぇ・・。」といって笑った。
方丈の屋敷の庭の松に乗っていると書院のほうがなにやら騒がしい。
休憩時間に近寄ってみると書院の畳を車に積むために外に持ち出している。
畳換えをするのだ。
100枚以上の畳を入れ替えるのだそうだ。
畳屋は「寺の畳は重くて、まいったね・・」と笑う。
「ホリベヤスベイにでも仕切ってもらわないと大変だね。」と私がいうと畳屋はキョトンという顔をした。
まぁ・・いいか。
この寺は東京郊外にあって、大学も多くアパート・マンションも多いので人の入れ替わりが多い。そのたびに畳を入れ替えるので畳屋も仕事が多いそうだ。
それでも最近のアパートやマンションで使われる畳というのは僕らが昔からしっている畳ではなく、いわば板の型枠にゴザを張ったような畳(のようなもの)だから、軽い。この寺で使うような昔ながらの畳100枚以上も入れ替えるなどというのは数年に一回くらいだから畳屋には重い仕事には違いないのかもしれない。
寺の奥さんによると昔は、畳の入れ替えとなると職人が境内に作業場をこしらえて畳を作ったのだそうだが、今は畳屋も機械縫いだからそんな光景も無くなったのだそうだ。
それでもこの寺では畳の上では掃除機ではなく箒で掃除しているから畳の傷みもすくなく長持ちするのだそうだ。
大きな木々に囲まれた寺での仕事。
畳の持ち出しが済んだ午後に大きなモッコクに乗り書院を見下ろすと廊下で、方丈が卒塔婆に文字を書いている。
屋敷では縁側で奥さんが編み物をしているのが見える。
いつもなにやら忙しい寺だが今日の午後に限っては穏やかで静かな庭の時間。
陽が傾き始めたころ色付いたケヤキの向こうに夕月。空はまだ青い。

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