庭の時間 庭にて

庭の時間


他人事のひと】
私がそれまでのグループを離れて、独りになって今の庭仕事をするようになってしばらくして、東京世田谷にある造園会社に時々手伝いに出かけていた時期がある。
もう随分まえのことだ。

独りになって店を出して、すぐに仕事など沢山あるわけだったわけでもなく、その会社から声をかけてもらったこともあって、時々手伝いにいっていたのだ。

その手伝いのために時々行っていた時期、世田谷のある屋敷に入った。
その庭の中央にはゴルフのグリーンがあり、そこに独りの男性がパターをつまらなそうに振っていた。

私ら職人は挨拶をして庭に入るのだが、彼は私たちの存在などまったく興味なさそうで、彼がそのときやっているように見えたゴルフのパタリングにも興味等無いのにただクラブをブラブラさせているように思えた。

周りの人が全部お膳立てをしてくれるのが当たり前で、人のためになにかできる人のようには思えなかったし、私はこの庭の主人はつまらないひとのように思ったことをいまでも実は良く憶えている。

この庭には確か3年くらい手入れのために入っていた。

ここ1年前から毎日、新聞・TVにその言動や活動が取り沙汰され、昨夜の発表は今日はすべてのチャンネル、新聞のトップにとりあげられた。
。。。。。。。。

4年前に私は自分の仕事に対する考えを改める機会になった出来事があった。

それからは、私は私が関わっていたい庭と私を必要としてくれている人達のために仕事をしていきたい、と思い、そういう方向で仕事をすすめてきた。

そんな風に仕事に対する取り組み方の方向が明確になり、変わり始めた頃から、こういう人のためには仕事をしないと決めていた人が行った昨夜の発表がメディアを賑わせている。
[2008/09/02 18:07] 庭にて | コメント(1) | トラックバック(0)






摂氏40度】
F寺の庭

住職が書院からしばらく庭を観ていたのだろうか。
私が我に帰ったのは住職が書院と庭を隔てていた一面のガラス戸をやや強く開け放つ音。
作務衣に半ズボンの住職が、40度を越えたよ。いま。うちの寺は。
といいながらガラス戸を開け放った。
さぁ・・廊下に横にでもなったらいい。

書院とガラス戸の間の板の廊下で横になって居眠りでもしていなさい。
そういっている。

この庭を整備して一年半が経過した。
石とタマリュウだけのこの庭に毎月一度は通って雑草を抜いてきたが、この春から雑草がめっきり減り、タマリュウが密になった。

色々考えたのだけれど、檀家さんとたまに見せてくれという人にだけ見てもらうことにしたよ。
住職はそういって、暑いでしょう・・といって私の名を付け加えた。

しばらく二人黙ったあとに、
この石庭を整備して一年半が過ぎてやっと完成してきた、と告げた。

実はインターネットでこの庭の写真が紹介しているサイトがある。いつの間にか。といって住職は眩しそうに庭をみた。

正直いうと、そんなことより、アイスでもご馳走してくれたらいいのに・・・、もし板の廊下に横になったら汗の型がのこっちゃうな・・と思った。

仕事を終えると、すぐに最寄のインター入り口から高速にのった。

東京タワーと、六本木のなんとかいうビルがすぐそばに立っていた。

車のガラスに触れると熱かった。

家に着くまでずっと熱かった。









[2008/08/08 18:20] 庭にて | コメント(0) | トラックバック(0)






ヤシャブシとネムノキ】

東京郊外の寺院。

東京都西部の多摩丘陵では雨が恋しくなるような日が続いている。

7月盆が済んで8月盆の前に境内と墓地の風情を整えている。

毎年のことなのだがここのところ雨が少なく暑い日が続いている。
都心では、これもいつものことだろうが、夕立や突然の雷雨があるらしい。


寺の境内を通って墓地に向かうおばあさんが云うには、このあたりは高台にあって昔はお百姓たちはずっと水飲みだった・・・そうだ。

昼休みに墓地の裏にある林の中にはいって日陰を探して腰掛けると涼やかな風にホッとする。

穏やかに揺れる長く伸びた木の枝を見上げると、それはヤシャブシだった。
ハンノキのような実をぶら下げて木陰を作っている。

ヤシャブシは夜叉五倍子という漢字を与えられている。
ヤシャブシ


しばらく涼んだあとに腰をあげて木陰を選んで仕事にもどろうと歩いているとネムノキがその花火のような花を空に向けて開いていた。

そして夜になるとその細やかな葉を閉じるのだろう。
ネムノキ

[2008/08/02 04:00] 庭にて | コメント(0) | トラックバック(0)






あげは蝶】
夕方、西日が入り始めて、透かされた枝間に揺れる頃仕事が済んだ。

濡れ縁に座って、虫が入るといけないからと網戸を閉めてもらう。
風が無いようだったが、庭のハナスオウの大きな葉だけがゆったりと揺れている。

網戸を隔てて、お施主は「今年は蝉が鳴かないんですよ・・」
そういえば今年はまだ蝉の鳴き声を聞いていないような気がする。

アゲハチョウが木々の間を縫うように舞っていった。

この庭の隅のユズの木にアゲハチョウの幼虫がひっそりと呼吸している。

もう随分大きくなっているので後数日でサナギになるのではないかと思う。

そのことは網戸の向こうのお施主には黙っていた。






[2008/07/20 19:12] 庭にて | コメント(0) | トラックバック(0)






雨後】
昨日までの雨があがって道路も乾いている。
湿気が多い日は雨が上がっても道路が乾かないことも多い。
道路が乾かないくらい雨後の湿度が高いようなときは庭には雨が名残っている。

屋敷に声をかけて庭にはいり庭木の繁り様や虫の気配を感じながら一回りする。

茶筅灯篭があってその付近の鬱蒼とした気配が私は好きなのだが、今回は少し風通しを良くしようと思う。

木の枝に触れたのか、山椒のなんともいえない香りが雨後の庭にはよく合う。

善導寺型灯篭
[2008/06/27 19:49] 庭にて | コメント(0) | トラックバック(0)






遠雷】
朝、剃刀を髭にあてるのがなんだか億劫になった。
この日記も更新するのが面倒になって暫く経ってしまった。
季節のせいなのか、このところの気候のせいなのか、良くわからないでいる。

今年の雨期も雨の間を縫って庭で仕事をしている。
雨の日が多いせいか各庭では草むしりがされないままで草花がヒロンと伸びている。

今日も日中、雨の匂いがしていた。
夕方近くになって遠くから雷雲が忍び寄ってきて音をたてている。
庭・草


[2008/06/09 18:12] 庭にて | コメント(0) | トラックバック(0)






春の陽気】
モチ

春の暖かさでした。

庭では、小鳥の声に見上げるとつがいなのか、楽しそうに、いとおしそうに交互に枝間を渡るシジュウカラ。
大きなモチノキの向こうの陰にある名残りの白椿にはヒヨドリが花芯にそっと嘴を差し入れている。
いとおしむかのように。

春の日差しの下、モッコクの葉が揺れて白砂が波をうったかのようです。

サッコウフジの葉が随分落ちていました。いつもの年は冬でも常葉なのですがこの冬は寒さにあたったのか葉をほとんど散らしたようです。
その露わになったツル枝のあいだに小さな鳥の巣がありました。
昨年の巣のようです。もちろん空です。
春の陽気いっぱいの庭にこの空になった残り巣だけが過ぎようとしている冬を感じさせます。

また小鳥の声がして見上げるとシジュウカラがまたモチノキの枝間を渡っていました。

カメラを向けたときにはもう春風に揺れる枝葉だけでした。

[2008/03/11 18:54] 庭にて | コメント(0) | トラックバック(0)












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