8月31日午前中に同行者と待ち合わせ、中央道を走り、午後早い時間に長野県下の駐車場に車を置き、歩き出した。
野営ができる山小屋前にテントを張り終えた頃は雨は降ってはいないもののガスが立ちこめてすぐ近くに鎮座しているはずの南八ヶ岳連峰はなにも見えなかったが、明日はきっといい天気、良い展望のなか稜線歩きができると同行者に伝えた。
同行者は順調なアプローチをへて野営場について私の言葉に楽しみが増していたようであったが、なにか心配事を抱えているようにも感じた。
そして近くの標高2200mにある山小屋の衛星電話をつかってなんどか電話をしていたようだった。
あたりが暗くなりそれぞれのテントに入ると小雨がテントを叩き始め、私はいつのまにか眠ってしまった。
私を呼ぶ声がして目覚めた時は夜の8時頃で、「実は・・・」と同行者は話し始めた。
彼の家のほうで事情が生じ明日朝一番にも下山したいと話しはじめた。話の内容は突発的な事情で、下山いたしかたなし、という内容であった。
雨は止んでいて星が出ていた。
明日歩くはずの山はもう暗くなっていたが、闇の中見上げると頂上下の山小屋の灯りがみえていた。そこは標高2700mの高さにある。
同行者にその小屋の灯りが見えると伝えるとじっと見ているようであった。
同行者にとっては初めての八ヶ岳であったし、楽しみにしていたことは知っていたが、山はずっとここにあるし、また来ればいいのだ。
翌朝(今朝)まだ薄暗い時間から撤収を始めると青い空が広がり始め、今回縦走する予定であった稜線が浮かび上がってきた。
またくればいいのだ。

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